A n o t h e r s t o r y s

□君とサラダ。
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 今夜は私の当番か、何を作ろうかしら・・。


「あ!そうだわ、ポテトサラダが良いわ。」


 でも、じゃがいも有ったかしら・・と後ろの食糧袋の方を振り向いた。



「なぁ、ティア」

「!!」


 深いブルーの目をくるくるとさせながら、ルークがジーッと私の顔を覗き込んでいた。



「なっ、何!びっ、びっくりするじゃない!いきなり・・っ」

「今日の当番、ティアだろ?飯、何にするのかと思って」

「ポテトサラダとカレーにするつもりよ。でも、じゃがいも有ったかしら」

「ポテトサラダか。ティアのポテトサラダ、うめーんだよなぁ!」


 目をキラキラ輝かせて、ルークがラッキーとばかりにガッツポーズをして喜んで居る。
 ルークのそんな姿を見ると、不思議と嬉しくなってしまう。



「でもさ、じゃがいも無かったぜ?昨日、使い切っちまったし」

「そう・・なら、買いに行かなきゃ駄目ね」

「オレも一緒に行くよ」

「助かるわ。じゃあ、お願い」









 店に着くと、ルークが手際よく買い進める。
 以前の彼を見ると嘘みたい。
 信じられなくて、思わずクスッと笑ってしまった。


「・・?なっ、何だよ」

「何でも無いわ。でも、以前の貴方ならこんな風に買い物も出来なかった」

「わ・・っ、悪かったなぁ」


 ポリポリと頭を掻きながら、顔を真っ赤にしてぶっきらぼうに言う。









 蒸かしたじゃがいもを潰しながら、ルークの事をぼんやり考えていた。

 人は、こんなにも変われるって事を彼は証明してくれた。



 私は、変われたのだろうか。







「どうしたんだ?悩み事か、ティア」


 いけない、私ったらぼーっとしたりして。





「何か有ったら話してくれよ、無理すんなよ?」


 本当に変わった・・今ではこんなにも気遣ってくれる。



「ありがとう。大丈夫よ、ルーク。それじゃ、この人参を切ってくれる?」

「ああ、分かった」
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