A n o t h e r s t o r y s

□君とサラダ。
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 さて、あとはマヨネーズ・・っと。

 キャップに触れると、容器が膨張している為かパンっ!と音がして、中のマヨネーズが少しはねてしまった。



「はぁ・・脂でベタベタだわ」


 溜め息をつきながら、ウニウニとマヨネーズを絞りだす。





「ティア、ここ!」

 ルークを見ると、自分の鼻の頭を指差して、マヨネーズがついてることを教えてくれるフリをした。


「えっ?どこ」

 パニックになっていた為か、マヨネーズが上手く拭き取れない。



 すると、いきなり目の前がルークの顔で一杯になった。
 びっくりして、とっさに目を閉じた。


「きゃ・・」


 そして一瞬、鼻の頭が擽ったくなって、ルークの無邪気な笑顔がそこにあった。


「ん、マヨネーズの味は大丈夫だなっ!」





 えっ?何、今の。

 何が起こったのか、状況を掴むのも暫く時間がかかった。





「全く、ティアもおっちょこちょいだな」

「な・・っ!かっ、からかわないで!!」

「でも、そんなトコが放っとけないんだけどさ」


「!!」





 変わりすぎよ、ルークったら。





 でも、私が何か変わったとしたら、ルークに対するこの気持ちかしら。


 始めは、見守っていくだけのつもりだった。
 それが、いつしか何かそれとは違う気持ちを抱くようになった。

 気が付けば、いつもルークの姿を追っていた。
 彼の姿が見えないと凄く心配になったし、不安になった。

 いつしか、見守っているという立場から、傍に居て欲しいと思えるようになっていたのね。





 今日、買い物に着いて行ってくれると言ってくれた時、嬉しかった。

 並んで歩いていると、心が暖かかった。
 まるで、ずっと暗く冷えた部屋に太陽の光がさして来た感じがした。





 ふっ・・。

 そんな自分が不思議で、笑った。
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