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□事実婚生活
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「事実婚…」
ハルヒが何やらおかしなことを言い出した
まぁ、それはいつものことなので別段不思議なことでもないのだが、内容が気掛かりだ
―事実婚―
婚姻届を出してはいないが、事実上、婚姻状態にあること
……とてつもなく嫌な予感がする
「…いきなりどうした」
「何かおもしろそうじゃない!?私たちもしてみましょう!」
予感的中、さすがは俺だ!すごいぞ!
…素直に喜べない
別にお前が勝手にする分には構わんが、俺たちを巻き込まないでほしい
「してみましょう!って、ハルヒ。誰と誰がするんだよ」
「そんなのあたしがしなきゃおもしろくとも何ともないじゃない」
そりゃごもっともで
「でしたらお相手はあなたしかいませんね。がんばってください」
ちょっと待て、古泉
なぜ俺なんだ?お前がやれ
監視しやすくて便利だろ?
「僕が?バカなこと言わないでください。涼宮さんの相手は僕には到底務まりそうにありません。涼宮さんのお相手はやはりあなたが」
理由を説明しろ
なぜハルヒといったら俺なんだ?
「なぜって、長門さんや朝比奈さんもそう思いますよね?」
という古泉の問いかけに、長門は一度肯き、朝比奈さんは天使のような微笑みを浮かべていらっしゃる
あぁ、どうせなら朝比奈さんと事実婚生活をしてみたい
いや、事実婚と言わずいっそのことマジで結婚…
「私は別に古泉君とでもいいのよ!
…まあ、あんたがどうしてもって言うんならあんたとしてあげないこともないわ!」
脳内発言ぐらいは最後まで言わせろ
それに俺は出来ることならばやりたくない
「そうか、なら小泉に相手してもらえ。お前は俺とじゃ嫌みたいだからな」
ちょっとした嫌みを言っておく
「ちょ、…別に嫌なんて一言も言って無いじゃない!」
いったいどっちなんだか…
しかしだな、ハルヒが涙目になっているのは何故だろうか?
俺か?俺のせいなのか?
理由はわからんが俺とハルヒ以外の三人からの視線が痛い
まるで突き刺さるようだ
こうしているうちにもハルヒの目には今にも溢れんばかりに涙が溜まっている
…わかったよ、俺のせいなんだな?
「スマン、ハルヒ。嘘だ。俺はお前と事実婚生活とやらをしてみたい。どうしてもだ。俺はお前の相手役を誰にも譲る気はない」
「……わかったわよ、あんたがそこまで言うんならあんたでいいわ!」
ふぅ、なんとかいつも通りのハルヒだな
ただな古泉、その意味ありげなにやけ面はやめろ
まあ、ハルヒがいつも以上に笑顔なので許してやるとするか
これからどうなることやら…
やれやれだ
→あとがき