朧げな闇夜

□僕は遥か彼方へと眠る
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……最近、いつもこうだ。

微かに漏れる、咳と熱っぽい吐息。
今まではそんな事なかったのに、今では自分の咳と呼吸の苦しさに目が覚めてしまう。
いつからかは覚えていないけど、最初はちょっと胸が軋むだけだったのに。
しんどくて耐えれそうにないくらい、体が辛い。
それでも尚、僕はベットから抜け出してクローゼットの前に立つ。
ベットからクローゼットまで徒歩3歩、時間にして凡そ30秒、そんな近い距離なのに、眩暈がして必死にクローゼットの取っ手を掴んでもたれかかる。
(…やばいな。)
頭を軽く扉に押し付け、ため息を吐く。
うっすら目を開ければ、微妙に震えている取っ手を掴む右手。
(…本当にやばいんだな。)
つい自嘲の笑みが出てしまう。
それでも、僕はクローゼットを開けて制服を着る。
気づかなかったが袖を通す白いカッターシャツの冷たさが妙に心地よくて、自分の体温が上がっている事を知った。
(まぁ、起きたてってのはこんなもんか)
そのときの僕は、さして自分の体を気にしてなかった。
それよりも、好きな人と自分のライバルに気を取られていたから……。
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