小説

□月の呪縛 〜snow and your warmth〜
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指先に吐いた息が白く、白く、宙を漂い溶けてゆく

小さくついたつもりだった溜め息も白く、夜空に昇っていった





辺りは一面の銀世界

白銀の月に照らされて、雪が青白く輝いた

この世界には誰もいないかのように、静寂が二人を包む

聞こえるのは、雪を踏む音と二人の鼓動だけ





わたしはもう一度、息を吐いてみた

それを見た彼は振り返ると聞いた





「寒くはないか?かごめ。」





わたしが答える前に彼は自分のマフラーをわたしの首に巻き付ける

きっと寒いのは貴方の方

白い指が更に白く冷たくなってるもの

それでも微笑む貴方

なんとなく照れくさくて俯くわたし

構わず、貴方は手を引いて歩き出した





見上げると彼の銀色の髪が神秘的な光を放っていた

風になびく度、キラキラと光る

更に見上げると見える空

雪の降った日の、晴れた夜は星の灯りが澄んで届く

それが余計、わたしを切なくさせた








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