小説
□甘く溶け出した愛は。
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「あっ!ギャンブラーZの絵本があるー!ユーリ、これも買ってー」
「貴様は子供か。」
秋らしい薄い青空が広がる、のどかな午後
ユーリとスマイルは本屋にいた
最近はバンドの活動も落ち着いていて、クリスマスなどのイベント時と比べれば逆に暇すぎる位だった
(アッシュは家事に追われ、割と生き生きとしている)
城に一緒に住んでいるかごめと話したりもしているが、さすがに限界がある
それで暇つぶし用に本でもと思い、わざわざユーリ城から出て来たのであった
もちろん、ファンバレないよう二人とも変装して
「そういえば。ユーリってどんな本読むの?…はっ!まさかエロ本!?
ユーリってばヤラシー!エロオヤジぃー!」
「誰が読むかぁっ!!!!」
思わず手にしていた本を投げつけるユーリ
それは寸分違わずスマイルの頭にクリーンヒットした
店の奥の方で、店員が狼狽えているのが見える
「…その本、買うから持っていろ。」
「"科学と数学〜二次方程式と世界の智学、元素について〜"…えぇー、ユーリ。こんなの読むのォー??」
スマイルの声を無視して再び本を手に取る
どうやらそこは詩のコーナーだったらしく、詩集ばかり置いてあった
後ろで、スマイルが何かを発見した声がする
「ねぇ見てよユーリ。コレ…かごめチャンの詩集じゃない!?」