Short Novel

□冷たい視線*温かいハート
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「ん゛ん?」

ムースが商店街を歩いていると、一軒の店先でウンウンと唸っている人物を見付けた。

水色が鮮やかなチャイナ服に、おさげ髪がトレードマークのその人物は、

ムースにとって最も憎い恋敵、乱馬であった。


ピントを合わせようと、かけていたメガネを右手でつまみマジマジとよく見てみれば、

男の姿では全くもって似つかわしくない、かなりファンシーな雑貨店の前でウロウロしている。


どうやら入る決心がつかないでいるらしい乱馬に、ムースは思わずプッと噴き出してしまった。


「何をやってるだ?」

「げっ…!ム、ムース?!」


考え事に夢中で全く気付かなかったのだろうか、突然声を掛けられた乱馬は相当驚いた様子でギョッと肩を震わせた。

その際、乱馬が手に持っていた何やらチラシのような紙がグシャリと音を立てる。


握り潰してはマズかったのか「だあああー!」と悲鳴を上げた乱馬に、

ムースは眉間にしわを寄せ、騒がしいヤツじゃと両手で耳を塞いだ。




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