Short Novel 2
□miracle!【挿絵付☆】
1ページ/11ページ
カランカラーン
「おめでとうございまーす!2等賞、映画鑑賞券でーす。」
「わーい!やった!」
「あかね、相変わらずくじ運いいわね〜。」
師走、年の瀬の寒さがひとしおの頃。
商店街に当たりを祝う鐘の音が響き渡った。
野次馬の人々が、微笑ましそうにパチパチと手を叩く。
今朝、かすみからお使いを頼まれていたあかねは
たまたま学校からの帰りが一緒になったなびきと共に、スーパーへ買い物に立ち寄った。
そのスーパーで行っていたのが、歳末キャンペーンと名打った、抽選くじ。
手作り感いっぱいの素朴なブースに設置された六角形の抽選器をガラガラと回し、
見事引き当てたのは…あかねが狙いを定めていた映画の無料ペア鑑賞券だった。
ホクホクと幸せいっぱいの笑顔でスタッフから熨斗袋を受け取り、抽選会場を後にする。
「これ前から観たかったのーっ。なびきお姉ちゃん…一緒に行く?」
2人で良かった良かったと言いながら家路を歩く中、
控えめにそう聞いてきたあかねに、
「私そういう甘ったるい恋愛もの苦手なのよねー。遠慮しとくわ。」
なびきは興味が無いと首を横に振った。
素っ気ない返事に「そっか。」と残念そうにしたものの、あかねの表情はどこかソワソワとしている。
そんな様子を見逃さないなびきは、ハハ〜ンと納得したような笑みを浮かべた。
「あかね、乱馬くんと行きたいんでしょー。たまにはデートの一つでもしてきたら?こういう映画見せて勉強してもらった方がいいのよ。」
「なっ、何言って…!だいたい乱馬なんかこういうの、もっと観たがらないわよっ。」
デートという響きに過剰反応したあかね。
乱馬と一緒に観に行けたらいいな…などと、密かに思っていた事を
まんまと姉に見透かされてしまったらしく、慌てる姿は余計に図星を物語っていた。
そんな折…
「俺が、何だよ?」
「きゃあ!ら、乱馬!」