Short Novel 2
□mirror
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「これで乱馬は私のものねっ。」
放課後を待たずして、愛しい乱馬のいる学校へ向かうシャンプーは、いつにも増して上機嫌だった。
民家の屋根から屋根へと跳び移る足どりは軽く、まるで猫のような軽やかさ。
長い髪をなびかせ、キラキラとした瞳で駆け抜けていく姿は恋する乙女そのものだ。
そんなウキウキ気分のシャンプーが、空き地へ来たところでクルリと一回転し降り立った…のだが。
シャンプーが着地したとほぼ同時に
突然、地面がボコリ!と大きく盛り上がり出した。
慌てて飛び避けた瞬間、
どっかーん!
という音と共に地面からボコボコと這い上がってきたのは…
「ここはどこだーっ!」
永遠の迷い子、良牙だった。
恐らく迷いに迷いまくっていたのだろう。
爆砕点穴で地中を突き進み、奇跡的にここまで来れたようだ。
「お前っ何するか!」
「シャンプー…!ということは、あかねさんの住む街へ辿り着いたのか!」
よくも驚かせてくれたなとばかりに、シャンプーが良牙の頭を
みしっ
と踏み付けたものの、踏まれた本人は無事辿り着いたことに感動中で、全く気にしていない様子。
そんな良牙に呆れるものの、構っている暇はない。
「私、先を急ぐある。再見!」
流す程度に挨拶を済ますと、シャンプーはまた何事もなかったかのように走り出し、颯爽と去っていってしまった。