Short Novel 2

□体感温度
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「Pちゃん!」

頭上からあかねの嬉しそうな声が聞こえて、居間で気持ちよく寝転がってた俺は思わず目を開けてしまった。

ああ今日も良牙の野郎が来やがったのかと、溜め息混じりに起き上がる。

が、すぐにとてつもない違和感を覚えた。


あれ?何か、すげー畳が近い…。
俺、起きたよな?


そう思った次の瞬間、俺の体がフワリと浮いた。

そして目に飛び込んできたのは、ものすげーでかさのあかねの顔!

「ぶきーーっ!」

!!!

ちょっと待て。俺今なんて言った?!
『でけーーっ!』って、言ったはずだよな?
なあ、あかね!そう言っただろ?

「ぷぎぷぎ?」

「ん?なーにPちゃん?」


があああああん…!

P…ちゃんて…。


俺は…俺はなるべく冷静に確認すべく、ゆっくりと視線を下に向けた。


視界に入ったのは…
黒くて丸っこい胴体に、首周りにはかろうじて視界に入る黄色いバンダナ。
そして、まるで豚のようなヒヅメ…


つーか、豚のヒヅメ!!!
ぎゃああああ!


「ちょっと、どうしたのPちゃん!」

どうしたもこうしたもねぇよ!
あかねの顔がでかくなったんじゃなくて、俺が小さくなっちまって…っていうか体がP助になっちまってる!
おい、あかね!俺だよ、俺なんだよ!
気付け!気付けってば!
だー、もう!一体何がどうなってんだー!



高々と持ち上げられたままジタバタ騒いでみるも、あかねは一向に気付いちゃくれない。

それどころか、異常な暴れっぷりに心配顔で覗き込んできやがった。


ば、馬鹿!顔が近い!

あまりの至近距離に思わず怯む。






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