Short Novel

□僕は君を守る
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そのおぞましい事件は、年の瀬のおしせまった寒い日に、また起こった。


カラーン コローン


練馬区界隈を歩く、1匹の巨大猫。

全身は真っ白く、顔の半分以上はある大きな目。

そして首には鈴をぶらさげてる。

彼は伝説の妖怪、猫魔鈴。


その鈴とペアである、小さな鈴を持つ女は、この化け猫の花嫁になる運命なのだ。


その縁結びの鈴を手にしていたのはシャンプーだったが、
何度か求婚に挑んだものの、いつも彼女や乱馬たちにこてんぱんにやられては泣いて退散していた。


そして今日もまた、懲りずにこの街へとやってきた。


「ふふふ…早乙女乱馬。今度こそわしの勝ちにゃ〜。」

また何か企んでいる、不気味な笑い…。





「ふっふっふっ…」


ところが、猫魔鈴の頭上から、また別の不敵な笑いが聞こえてきた。

慌てて声がした方へ見上げると、民家の塀にムースが立っていた。



「に゛ゃに゛ゃ!お前は…!」

「ふっ。おらのシャンプーに性懲りも無く近づくとは、命知らずなやつじゃ!」


びしぃっ!と指さし、格好良く決めたものの、

その指の先は…

猫魔鈴ではなく、塀の上で日向ぼっこをしている近所の野良猫。

その野良猫は、ふわぁ〜とのん気にあくびをする。



「お前は、シャンプーに相手にされてにゃい不憫な男…」

「誰が不憫な男じゃ!シャンプーはおらの嫁になる運命じゃ!」

げしっ!

言い終わらないうちにムースが眼鏡をかけて、猫魔鈴を足蹴りにする。


「おっ怒らにゃーで!でも、シャンプーは早乙女乱馬と付き合ってると言っていたにゃ。」


「嘘ではない。早乙女乱馬には天道あかねという許婚がおる。
それに特別に教えてやるが、おらはシャンプーと一緒に住んでおるのじゃ。」

「にゃ、にゃに〜〜!」


ががーん!とショックを受けて、よろめく猫魔鈴。

危なく早乙女乱馬と無駄な戦いをするところだったと、顔をふるふると横に振り青ざめる。



…実際はただ猫飯店で住み込みで働いているだけなのだが。


「だから、おらと勝負せーい!!」

「に゛ゃー待つにゃ!暴力反対にゃ!今日はルールを決めた対決をしに来たにゃ。」


暗器で殴りかかろうとしたムースに、猫魔鈴がある提案をしてきた。


「対決…?」




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