Short Novel

□hirari*
1ページ/8ページ


ひらり

イチョウの葉が舞い落ちる。

そんな季節。


学校からの帰宅途中、乱馬と歩いていたあかねが、ふと公園に目をやった。


「乱馬!見て!黄色いじゅうたんみたい!」


あかねがはしゃいで指差した先には、イチョウ並木。


つい先日までは黄色に色づき始めたばかりのイチョウも、すっかり葉が落ち始め、道が黄色のじゅうたんのように落ちた葉で敷き詰められていた。



あまりにも見事な黄色い景色に、あかねは上機嫌でイチョウ並木へと足を踏み入れる。


「ガキだなー。」

「あんたには風情ってもんがないわけ?」


乱馬も遅れて、しぶしぶついて行く。



落ちる葉を見上げながら楽しそうにくるくる回っているあかねは、本当に子どものよう。


そんな様子を興味無さげにぼぅっと見ていた乱馬だったが、
あかねが床に敷き詰められたイチョウの葉を両手一杯に拾い上げた直後、思わず目を奪われた。



あかねはそれを、思い切り放り上げる。


ザアッ………


頭上を、たくさんの葉がひらひらと落ちていく。


まるで
黄色の雪が降りしきる中に、あかねが立っているようで。




次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ