Short Novel
□Congratulations.
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「ブイ…。」
着いた…。
10日目にして、ようやく天道道場へ辿り着いた。
俺にしては早い方だったか。
俺としたことが、ここまで来る途中で池に落ちてしまった。
仕方なくブタのまま、早くあかねさんに会いたい一心でここまで来たのだ。
俺は引きずって持ってきた土産を口でくわえながら、2階にあるあかねさんの部屋の窓に飛び移った。
「ブイブイブイ!」
カリカリと前足で窓を蹴り、あかねさんへ俺の存在を知らせる。
しかし、いくら開けてくれとアピールしても、部屋からはあかねさんの応答はない。
「ブイ…。」
いつもならすぐに開けてくれはずなのに。
明かりはついているが、部屋には居ないのだろうか。
諦めて1階の居間へ向かおうと、屋根から下りようとしたとき、
力なくカラカラと窓が開いた。