Short Novel
□overtime
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祝言騒動後。
端から見れば、俺とあかねは普段と何も変わらない日々を過ごしていた。
「可愛くねぇ色気がねぇ!」
「乱馬のバカ!バカバカバカバカ!」
相変わらずの口ゲンカも、日常茶飯事。
でもそれは
端から見ればの話。
中国での一件は、お互いに存在の大切さっていうのを強く確認できた戦いだった。
そう。あの戦いで、俺達の中で何かが動き出したんだ。
…俺達なんて、自惚れかな。
あかねに聞いた訳じゃねーから、どう思ってるかは知らねーが。
でも、自惚れなんかじゃなく、あかねも同じ気持ちだったら良いんだけどな…なんて思う、今日この頃。
「今日もひな子先生の授業、自習になっちゃったわねー。」
「大介が読んでた漫画取り上げて、読み始めちまったからなー。ま、いつもの事だ。」
「困ったもんね。」
なんて、今もこうして帰り道にどうでもいい世間話をしているワケだが。
あかねは気付いているんだろうか。
俺があかねと並んで歩く距離を縮めていることに。
その気になれば、すぐ手を繋げられる距離にいるってことに。