Short Novel
□終わりにしたくない、この想い
1ページ/6ページ
「よっ、うっちゃん。」
「乱ちゃん!いらっしゃい…なんや、あかねちゃんも一緒かいな。」
お昼の混雑が落ち着ついた時間。
右京が誰も居なくなったカウンターテーブルを拭いていると、乱馬とあかねが店に入ってきた。
乱馬が自分の店へ来てくれたことに笑顔を見せた右京だったが、すぐ後ろにあかねの姿を見付けるとあからさまにガックリと肩を落とす。
そんな態度にあかねはムッとしながら悪かったわねと言うと、乱馬と共にカウンター席へ座った。
「2人で珍しいなぁ。まさかデートとちゃうやろな?」
2人から注文を受けた右京が、器用にお好み焼きの材料を混ぜながらジト目で睨み付ける。
「だぁ〜れが、あかねなんかと…」
「悪かったわね!こっちこそお断りよっ。春休みの宿題を手伝ってあげたから乱馬の奢りで来たの!」
乱馬の悪態に、頭をゴスッと殴り付けながら答えるあかね。
そんな2人に安心した右京が、嬉しそうに笑顔を見せた。
「そうやったんか〜。えらい出費やなぁ乱ちゃん。」
「どうせ自分の分はタダにしてくれるとでも思ってるのよ?」
「悪い、うっちゃん。今月金欠なんだ。」
ヘラヘラと笑う乱馬に対し、あかねは全くこの男はと呆れた顔をする。