Short Novel
□涙を見せない君に
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「ちょっと、手助けしないでって言ってるじゃないの。」
長い髪の乱れを整えながら、あかねが乱馬を睨み付ける。
「おめーの為にやってんじゃねーよ!」
(あ〜くそっ。気分が悪ぃ。)
九能に出くわすのも虫ずが走るが、あかねの態度にもムッとくる。
乱馬がブツブツ言っていると、小乃接骨院の前であかねが足を止めた。
「東風先生の所に寄っていくから、あんた先に帰ってていいわよ。」
「え…」
思わず、乱馬も足を止める。
「? 今日はケガさせた覚え、ないわよ。」
「おう…」
あかねは乱馬の返事を聞くと、接骨院へと入っていった。
確かに自分は東風先生に用事はない。
帰ってロードワークでもしようと、乱馬はそのまま帰ることにした。
でも、何故だろう。
乱馬は一瞬心がざわりとした気がしていた。
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