Short Novel

□僕は君を守る
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***

一方、ここは天道道場…



学校から帰宅した乱馬とあかねが、居間でTVを見ながらくつろいでいた。


「ん…?」


外から何かが近づいてくる音が聞こえる
と思った、その瞬間…


バリバリッ!
…ごりゅん!!


「ぐぇっ…!」

突然乱馬の頭に、何かが思いっ切り乗り上げた衝撃が走った。


「ニーハオ!乱馬!」


それは、庭から自転車のまま入ってきたシャンプーだった。

寒いからと閉め切っていたふすまも、あっけなくなぎ倒されてしまっている。


「ちょっと、シャンプー!自転車のまま家に上がらないでよねっ。」

「あかね…言いたいことはそれだけか。」


自転車で轢かれた自分を一切心配しないあかねのツッコミぶりに、乱馬はちょっぴり寂しさを感じた。



「それはすまなかたな。ところで乱馬、デートするよろし。」

シャンプーもシャンプーで、全く悪びれた様子も無く、ひょうひょうとした態度。


「あのな〜〜!」

2人のかけあいに声を荒げた乱馬だったが…

その時また、何かが近づいて来る音がした。



どどどど…


「シャンプー!おらの口づけを受けるだー!」

「シャンプーはわしの嫁にゃー!」


どんがらがっしゃーーん!



声を張り上げて乱入してきたのは、ムースと猫魔鈴。


嵐でも来たような激しさで、天道家の居間があっという間にグチャグチャとなる。

その勢いのままに、ムースはちょうど側にいたシャンプーにひしっと抱きついた。

しかし、見事な程のど近眼。


「誰がシャンプーだ、ど近眼!」

みしっ…

抱きついた相手はシャンプーには似ても似つかない乱馬だった。

すかさず顔を足蹴りされる。


「むっ…紛らわしいマネをするなっ!」

「あのなっ。」


眼鏡をかけ、相手が乱馬だとわかるやいなや逆ギレするムースに呆れていると、後ろから

ぺぺぺぺぺぺん!

と、破裂音のような凄まじい音が聞こえた。


驚いて振り返ると、猫魔鈴がシャンプーに連続の平手打ちを食らってシクシクと泣いている。


「あ゛ーーーっ!ね゛こ゛〜!」


猫魔鈴を発見した乱馬が、たちまち恐怖の声を上げた。





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