長編
□いつも見守っています【後編】
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次の日の放課後
帰ろうと右京がげた箱に向かうと、先にいた乱馬が空を見上げていた。
その視線を追うと、外は雨が降っていた。
どうやら傘が無く、雨宿りをしているようだ。
チャンスとばかりに、カバンから折り畳み傘を取り出して声をかけようとした時、
残念ながらそれより早くあかねが乱馬を呼んだ。
「ごめん ごめん、あったわよ、傘!」
「遅せーよ。」
乱馬が文句をいいながらも傘を受け取ると、あかねは何よっと頬を膨らませた。
その様子に、右京が思わずチッと舌打ちをする。
相合い傘なんて、させてたまるかい!
邪魔をしようとしたものの、その時ふと、昨夜の小夏の話を思い出した。
『二人きりの時は、意外と仲がよろしいのかもしれませんよ…。』
…小夏のやつ。
そんなに言うなら、その二人っきりの時を見届けてやろうやないか!