長編
□Illuminations1
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「乱馬!クリスマスケーキ作ったの!食べて!」
どん!
天道家の朝。
朝食後、一人くつろいでTVを観ていた乱馬の目の前に置かれた、芸術的作品。
いや、未確認物体か。
あかねはニコニコとかわいらしい笑顔で、それをケーキだと言い放つ。
乱馬はぎょっとした顔で、あかねの言うそのケーキをまじまじと見つめた。
黒い塊の上に、また白い…塊。
分離してるけど…
白いのは多分クリームか?
当然のように、食えそうに無い。
今日はクリスマスイブ。
そういえば、あかねは昨晩から落ち着かない様子で機嫌が良かった。
今日は学校が休みだったせいもあり、すっかり気が抜けていた。
TV番組に夢中で、あかねが張り切ってキッチンで格闘していることに、気付きもしなかったのだ。
辺りを見回すと、天道家の面々はすでに一人もいない。
のん気に気が付かなかったのは、乱馬だけだった。
乱馬の顔に、冷や汗が流れる。