長編
□変わりゆく心4
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『私、格闘をやめるわ。』
あかねの言った言葉の意味が、全く理解できない。
早雲は勿論、一緒に聞いていた乱馬と玄馬も、未だ口をあんぐりと開けたまま固まってしまったままだ。
「一体何の騒ぎなの?」
先程の早雲の叫び声に、夕飯の準備をしていたかすみとのどか、すでに帰宅して自室にいたなびきも何事かと居間に集まって来た。
一番理解できないのは乱馬だ。
学校でも帰り道でも、今の今までそんなことをあかねは一言も言ってはいなかった。
むしろ、あんなに笑っていたのに…。
自分が気付かなかっただけで、あの笑顔は空元気だったのだろうか。
本当はやめたいと口にしてしまう程、あかねは悩んでいたのだろうか…。
先程までの姿は幻覚だったかのような、あかねの急な変化に乱馬は戸惑いを隠せないでいた。
「あ…あかね?今日のことなら気にすること無ぇじゃねーか。」
「……。」
「どういうことかね…、乱馬くん。」
下を向いて黙ったままのあかねにしびれを切らした早雲が、乱馬に問いかける。
「ああ、実は…」
乱馬はあかねが殴ったり蹴ったりしなくなったこと、その原因は恐らく指輪にある可能性を早雲に説明をした。