長編

□なにがあっても3
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「だあ〜!もう朝じゃねーか!」


翌朝…

乱馬は誰に起こされるわけでもなく、
自然と目が覚めた。

否。正確には、
ちゃんと眠れなかったというのが正しい。


朝日が窓から射し込み始め
焦って跳び起きたところで、
隣で寝ていたパンダ姿の玄馬に
力いっぱいバキッと殴られた。

プラカードには
“一晩中、隣でうじうじと!うっとうしい!!”の文字。


そう…
目を閉じれば
あかねがムースに好きだと言ったシーンが浮かび…


目を開けても
あかねがムースの腕にしがみ付くシーンが思い出され…


布団の上で
うだうだうじうじしている間に、
とうとう朝が来てしまったのだ。


おかげでこっちまで眠れなかった
とパフォパフォ文句を言われ、

「けっ。親父のイビキの方がよっぽどうるせーぞ!」

逆ギレしてドカッと殴り返す。


誤魔化すように一つ咳ばらいをしたところで、
仕方なく布団から出た乱馬であったが。

朝の支度をするもどこか憂鬱で、
居間へ向かう足どりも自然と重かった。



どことなく緊張した面持ちで居間へ足を踏み入れた時
ちょうど入れ代わりでなびきが出てきた。


「今頃起きてきたの?早くしないと遅刻するわよ?」


…いいえ、逆に眠れなくて一晩中起きていました。

遅いのはダラダラと支度していたからです。


などと言えるわけもなく、
へいへいと曖昧に返すと


「待ってよ、お姉ちゃん!私も一緒に行くっ。」

あかねも居間からひょっこり顔を出してきた。





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