アオイトリ
□アオイトリ〜始まる日〜
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「い、――やっ、なに……!?」
逃げようとして気付く。いつの間にかネクタイで両手が拘束されている。
その手を頭上でひとまとめに押さえられ、愕然と目の前の青年を見つめた。
なにこれ、どういう状況?
「理事長っ?! やめて下さ……」
「“暁臣”と呼んで下さい、と言いましたよ」
反射的に閉じようとする私の脚を膝で割りながら、ブラの中に掌を滑りこませて強く揉んでくる。
遠慮のない、強引さで。
「やっ、いや! ……や、痛ぁッ…!」
身をよじって逃げようとすると、指先でふくらみの粒を捻られ、痛みに悲鳴をあげた。
滲む瞳で理事長を睨みつける。
「……煽るだけですよ、そんな瞳をして……」
何かを堪えるような表情で、彼はまた私にくちづけた。
ダメ。
この人のキス、訳がわからなくなる……!
「――ンんー…ッ、……は、……ゃう……ダメッ、いやぁあッ!」
クチ、と音を立てて彼の指先が秘所に触れる。首を振って、それを拒む。
だけど理事長は許してくれなかった。
長い指がグッと奥まで差し込まれる。息を飲む。
キスや身体に加えられた愛撫で、そこは私の意思を無視して濡れていたけれど、まだ、充分じゃなかった。指を動かされる度にピリピリと痛みが走る。
生理的な涙が滲んできて、他人に好きに身体を弄られていること、抵抗できないどころか、反応している自分が信じられなくて、更に涙が溢れた。
「〜〜〜っ……、ゃだあっ……」
「……あまり抱かれていなかったようですね? キツイ……」
「ッ! なっ、ばかヘンタイ! はなしてよぉっ」
確かにそれは事実だが、こんな真似をしている人にわざわざ言われたくない。
涙目で悪態をつく私に、理事長はクスリと笑って、指を増やしてくる。
「あぅ……ッ! やめ……ッぁん! ゃっ、あ」
弱い場所を探り出され身体が跳ねた。
グチュグチュとイヤらしい音が耳に入って、執拗に掻き回される感覚が、身体のあちこちを舐め吸われる刺激が、私の頭をオカシクする。
「凄い……熱く蠢いてますよ……? 欲しいって、言ってるんですか……」
「ゃ……はぁッ、も、やめてぇっ……いや、やあッ」
言葉でも辱しめられて泣きじゃくりながら声を上げた。
こんなの。
おかしい。
理事長の部屋といえども、ここは職場なのに。
恋人でもない男に触れられて、今までにないくらい昂っている自分が信じられなかった。
指が抜かれる。
は、と安堵の息を吐く間もなく、指よりも狂暴なものが押し付けられた。
それが何かだなんて、考える必要もない。
「ッンぁあッ! いっ……あぁ、ぃや、いやぁ――ッ!」
「っ……ッは、茅乃、さん…ッ」
ギシギシと身体を軋ませ、乱暴なまでに大きなモノが内側に侵入ってくる。
熱くて、強くて、容赦ない――男が。
厭だ、と拒む私の言葉は意味を成さず、空(くう)に散った。