アオイトリ

□アオイトリW〜眠る檻〜
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「何のイヤガラセですか新年早々っ! 私が出てくまでどうして待てないんですかッ! みんなに目撃されちゃったじゃないですかああああ!! しばらく家からの電話に出れない〜〜!」

半ば蹴り入れるように理事長を車に押し込み、私は座席に倒れ伏した。
本日は運転手付きの車、頭を抱えて苦悩する私を眺めて、理事長は横で飄々と、

「いえ、せっかくご実家まで来たのでご挨拶を」
「しなくていーっつの! うあ〜、どうしよ、言い訳きかないじゃん〜…」

しかも連れ出されてるし。

「…そんなに迷惑ですか、私がご両親に会うのは」
「常識で考えて下さいよッ! 家の玄関先にいきなり王子みたいなのが現れたら何事かと思うでしょっ」
「…おうじ…?」

ぷは、と吹き出す気配にふと我に返る。
運転手さんが肩を震わせていた。
ム、と理事長が睨むのに、運転手さんはケホケホ咳き込むふり。

「松岡…」
「暁臣様、お時間はよろしいのですか? お嬢さんに説明がまだの様ですが」

説明?
そういえば、

「お願いとか……それに、今日は新年会って言ってませんでした?」

「ええ、これから…、ええと…あのですね、茅乃さん…、実は折り入ってお願いが」

歯切れ悪く、これまた珍しく言いよどむ理事長。

「だから何です?」
「…その、」

視線をさ迷わせ、目を合わせない彼にしびれを切らしてずずいと顔を覗き込んだ。

「あーきーおーみーく〜ん?」

「…私のパートナーとして、一緒に出席して欲しいんです」

………。


はぁああぁっっ??!




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