月欠片。


□猫に鰹節。SS
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*ねこねここねこ1*



うちは、ねこ。

種族名やのうて、名前が『ねこ』なんよ。

人間さんの文字っちゅうやつでは、『音胡』って書くらしいわ。

つけたのは、月哉、うちの弟みたいなヤツよ。

うんうんわかっとうよ、月哉のほうが年上やっちゅうんやろ?

でも、そうやねん、
月哉ときたら、生きてく力がどっかの穴から漏れ出とるっちゅうか、ほっとくとフラフラ、あっちに行ってしまいそうなとこがあるんやから、うちとみゃーこちゃんで面倒みたらなあかんねん。

みゃーこちゃんはうちの、人間さんのお母さんよ。
ホンマのお母さんと、姉ちゃん兄ちゃんはあっちにのうなってしもうたけど、みゃーこちゃんがおるから淋しないねん。
まぁ、月哉もおるしね。

みゃーこちゃんは、甘くてやわらかくて、雨が上がったあとのお日様の匂いがすんの。

おひざの上で、丸くなって、なでなでしてもらうん好きや。

月哉もそうしてもろたらええのに、なんや、変に抑えてしもてるとこあって、うっとうしいねん。

アホやろ?



こないだ、みゃーこちゃんがおかしな匂いつけて帰ってきて、うちはイヤな感じしたんよ。

息が止まるような、むせかえるような、狂い咲きした花の匂いやったわ。

初めて会うたときから月哉にまとわりついとったような、あの匂いや。



その日のよる、みゃーこちゃんはお布団の中で、うちに、負けへんよ、って宣言しとったん。

ねこもアシハラくんを守ったってね、て言うとった。

うんみゃーこちゃん、まかしといて。


やって、ねこは誰かを幸せにするために生まれたんやもん。



寒い雨の日に、月哉をめっけて、アレや思ぅたんよ。

アレを幸せに導くために、ねこはおるんやって、わかったん。

せやから、みゃーこちゃんにも会わせたったやろ?


だいじょぶ、月哉もみゃーこちゃんも、二人まとめて幸せにしたるさかい、


みゃーこちゃんたちも、
ねこを幸せにしたってね?



∞∞∞∞∞∞∞

ねこの独白。
自然と、関西弁になったり。

いえ…本編がアレな展開だったんで、息抜き的に。


時期的には10話と11話の間。

('08.05/04 ブログ閑話休題)
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