月欠片。
□猫に鰹節。SS
6ページ/12ページ
*ねこねここねこ2*
うちはねこ。
腹ペコやねん。
それとゆうのも、うちの人間さんのお母さんであるみゃーこちゃんが、朝からずうっと月哉に苛められとうから、まだゴハンもらえてへんのよ。
おナカすいたん〜、みゃーこちゃあぁんん〜〜。
「…ぅん、ん…もぅ、だめ…お昼になっちゃうから……」
「ええやん、一日いちゃこくのも…」
「…っぁ、う、せっかくの休み、なのにぃ…」
「休みやないと、みゃーこちゃん許してくれへんやん…」
「は、だって、月哉く、しつこ……っんーっ…」
あんなぁ、お二人さん、仲ええのは結構やけど、うちおナカすいたんよ。
………。
……無視やねん。
まるっと無視やねん。
いくらみゃーこちゃんと月哉のカワイイねこでも、いい加減、怒るえ。
知らんもん。
うち、家出したるから!!
ウトウトしてたうちは、微かに名前を呼ばれて目を開けた。
ガサガサガサ、茂みを掻き分け、うちの名前を呼びながらこっちにやって来る影に、うずくまったまま。
「……こ、ねこー? ……いるなら返事しろよ、やっぱりここか」
案の定、姿を見せたんはうちの幼なじみっちゅうやつの、コーシ。
何でコイツはうちの隠れ場所いっつも見つけよんねん。
「…うーさいねん、あっち行きよし」
て、うちが言うとんのにコーシは勝手にうちの隣に腰を下ろしよった。
「今日は何だ? 何が気に入らなくて拗ねてるんだ?」
うちより二個上なだけやのに、いつも兄ちゃんよりお兄ちゃん風ふかせよるコーシをジトリと睨み付ける。
「たく、お前が居なくなる度に俺が探しに出される」
知んないよう、そんなん。
何にも言わへんうちの頭をくしゃくしゃかき回して、コーシはしゃあないなぁ、みたいなため息をつく。
ムカつくねん、自分やって子どものくせに。
やけど、コーシに撫で撫でされんの、お母ちゃんにされるんとおんなしくらい安心するから、まあ許したる。
「ほら、都胡さん達心配してるから、帰るぞ」
うちが落ち着いたん見越して、立ち上がったコーシが手を出してくる。
その手に掴まろうとして―――うちは首を傾げた。
「ねこ?」
「なあ、コーシ、うちの手ぇてこんなんやったっけ?」
ちっちゃい五本の指をニギニギして訊ねるうちに、はあ? と今度はコーシが首を傾げる。
→