月欠片。


□猫に鰹節。SS
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*ねこねここねこ2*



うちはねこ。
腹ペコやねん。

それとゆうのも、うちの人間さんのお母さんであるみゃーこちゃんが、朝からずうっと月哉に苛められとうから、まだゴハンもらえてへんのよ。

おナカすいたん〜、みゃーこちゃあぁんん〜〜。


「…ぅん、ん…もぅ、だめ…お昼になっちゃうから……」
「ええやん、一日いちゃこくのも…」
「…っぁ、う、せっかくの休み、なのにぃ…」
「休みやないと、みゃーこちゃん許してくれへんやん…」
「は、だって、月哉く、しつこ……っんーっ…」


あんなぁ、お二人さん、仲ええのは結構やけど、うちおナカすいたんよ。

………。

……無視やねん。
まるっと無視やねん。

いくらみゃーこちゃんと月哉のカワイイねこでも、いい加減、怒るえ。

知らんもん。

うち、家出したるから!!





ウトウトしてたうちは、微かに名前を呼ばれて目を開けた。

ガサガサガサ、茂みを掻き分け、うちの名前を呼びながらこっちにやって来る影に、うずくまったまま。

「……こ、ねこー? ……いるなら返事しろよ、やっぱりここか」

案の定、姿を見せたんはうちの幼なじみっちゅうやつの、コーシ。

何でコイツはうちの隠れ場所いっつも見つけよんねん。

「…うーさいねん、あっち行きよし」

て、うちが言うとんのにコーシは勝手にうちの隣に腰を下ろしよった。

「今日は何だ? 何が気に入らなくて拗ねてるんだ?」

うちより二個上なだけやのに、いつも兄ちゃんよりお兄ちゃん風ふかせよるコーシをジトリと睨み付ける。

「たく、お前が居なくなる度に俺が探しに出される」

知んないよう、そんなん。

何にも言わへんうちの頭をくしゃくしゃかき回して、コーシはしゃあないなぁ、みたいなため息をつく。

ムカつくねん、自分やって子どものくせに。

やけど、コーシに撫で撫でされんの、お母ちゃんにされるんとおんなしくらい安心するから、まあ許したる。

「ほら、都胡さん達心配してるから、帰るぞ」

うちが落ち着いたん見越して、立ち上がったコーシが手を出してくる。
その手に掴まろうとして―――うちは首を傾げた。

「ねこ?」
「なあ、コーシ、うちの手ぇてこんなんやったっけ?」

ちっちゃい五本の指をニギニギして訊ねるうちに、はあ? と今度はコーシが首を傾げる。


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