アオイトリ
□アオイトリV〜熱量〜
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私に初めて恋人が出来たのは、恥ずかしながら大学の時で。
サークルの先輩で、話が合って、仲良くなって、まあこんなものかなと初体験も済ませ、
一年半ほど経った頃、
自分に対する熱が感じられない、と彼が言って、
別れることになった。
その後もう一人、同級生と付き合ったけど、似たり寄ったりな事を言われて、また別れた。
どうも私は恋愛に淡白らしい。
四六時中相手の事を考えて、行動して、なんて私には出来ないし、したくない。
お互いに、自分の生き方を確立してしっかり立っていてこそ、相手を大切に出来るんじゃないかなと思うんだけど。
だから、恋愛のスタンスが似たような藤岡くんとは上手く行くと思ってた。
燃え上がるものはなくても友愛はあるから。親友時代が長かったし。
…まあ、彼のほうが別に情熱を見つけてしまったから、結局駄目だったんだけどね。
そして今、私がこんな状況でいるのも、恋愛に対して熱が足りなかったせいかもと、
何となく思う。
だから、流されているのかもしれない。
求める事をしなかった私に、求める事を教えるかのように、
彼は私を抱く。
思えば、無理矢理にでもこんなに強く求められた事は、なかった。
今までの恋人達に覚えなかった熱が、生まれるまで。
あとわずか。
ア オ イ ト リ V
〜熱量〜