トリハナニイロ

□隣人Nの呟き
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アオイトリX脇エピソード。

「夏生〜、雪ですよ〜、どんどこ降ってますよ〜」

 はしゃいだ声に、俺は夕飯づくりの手を止めて、窓にへばりついている彼女を見やった。

 ペッタリ額をくっつけて、窓ガラスが息で曇っているのも気にしないくらい雪が嬉しいらしい。

「…はわわ」

 雪にはしゃぐ彼女が可愛くて、後ろから小さな体を抱えるようにして、同じ景色を見る………ん? 何で下見てんだ、お前。

「…ドラマみたいなのですぅ」
 と、うっとり頬を染めて彼女が見る先には。

 路上で抱き締め合ってくちづけを交わすカップル。
 さながらドラマのラストシーンのように。
 雪がその上に舞って。

 …ってか、あれ隣の楠木さん…?
 じゃあ相手は上品そうな顔して夜が激しい彼氏さんか……!

「ちゅー、なのですよ。あっちから来たお姉さんを、車から降りたお兄さんが待ってて、ギュッてしてちゅ、でムキューでちゅうなのでした!」

 鼻息荒いよ、お前……。
 一部始終見学してたんかよ。

 あ〜、つうことは今晩隣の部屋でイチャつかれるのか…?

 いつもキレイで清潔そうな楠木お姉さまのアノ声は精神衛生上悪いっていうか、本人声が漏れるの嫌がってんのに彼氏さん鬼畜で気の毒っていうか、今日こいつ居るのに俺はガマン出来んのかって話で!

「はぅ、どっか行かれました〜。ふはぁ、ドキドキでしたねぇ」

 自分がキスされたみたいに頬を紅潮させて、俺を見上げてきやがるから、つい。

「む? …ふにゅぅ…」

 まぁ、これくらいは許されるだろ。

 俺は俺の愛しい妹にくちづけて、ドラマみたいに抱きしめてやった。


end.
 

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