SPECIAL
□桃色遊戯〜秘密の指先〜
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「大丈夫? 余計なお世話かと思ったんだけど、君、潰されそうだったから」
やわらかな笑みを含んだ甘い声。
少し身を屈めてわたしにしか聞こえないくらいの音量で囁かれたその声に心臓が跳ねた。
女子校育ちのわたしは、家族以外の男の人とこんなふうに近寄ることってなかったから。
勝手に顔が赤くなる。
「ダイ…ジョブ、です、あの、ありがとうございま……」
キチンとお礼を言わなくちゃって思うのに、小さくぼそぼそとしか話せない自分が情けなかった。
至近距離で、目が合うのも恥ずかしくて、うつ向く。
ガタン、カーブに差し掛かった電車が揺れて、押された彼の身体が密着する。
黒いコートから、ふっと男性っぽい森の香りがして、ドクリと鼓動が高鳴った。
なんかヘン。
身体の奥がずきずきする。
「―――る?」
ボンヤリしていたわたしは、何か訊かれた気がして、身動いだ。
頭を下に向けたその人の唇が額に触れる。
「気分が悪いなら、――気持ちよくしてあげようか…?」
………え…?
*