授業が終わって部活が始まる、その空いた時間を狙ったように携帯が鳴った。
……理事長。
今日会うはずなのにせっかちな人だ、と思いつつ電話に出る。
疲れたような声で、
迎えに行けなくなったという詫びの電話だった。
仕事で厄介ごとがあったらしい。
なら今日はナシですねと言うと、
ムキになってホテルで待ってて下さいという要求。
そんなにシタイのかしら。
……まぁ、さすがにね、
最近は。
理事長が私の事を
どう思っているのかなんて、薄々気付いてる。
だけどハッキリ言葉にされたことはないし、
私の方こそ
彼をどう思っているかなんて、
自分でも
まだわかってない。
嫌い、ではない。
好き、と言うには納得がいかないものがある。
身体で繋がっている、
曖昧で不確かな、
この関係を
言葉にするには
もう少し、時間が必要。L'Oiseau bleu 2.
〜惑・madoi・〜