アオイトリ
□L'Oiseau bleu 2. 〜惑・madoi〜
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「お兄ちゃんの恋人見たい見たい見たい〜〜連れてきて?」
9歳下の妹がそう言い出した時、イヤな予感はした。
茅乃さんとそういう関係になってから、月に数回は顔を出していた実家から足が遠のき、空いた時間は彼女と過ごす事を優先していたので当然と言えば当然の結果かもしれない。
今までどんな女性と付き合っていてもそんな事はなかったので、不審に思われても仕方ない…とは思うものの、
実際のところ、茅乃さんと自分は決して『恋人』といった甘い関係ではないので、妹のお願いを叶えることは出来ない。
というか、家族に会って欲しいなどと言ったら逃げられる可能性大。
弱味につけこみ、無理矢理関係を続けている立場としてはどんな些細なリスクも負いたくない。
…弱味に関しては、最近疑問がない訳でもないが。
抱かれることを拒否せず、
傷付けるような酷い性交のあとも、変わらず側に居ることを許されている。
彼女が本当のところ、
私をどう思っているのかわからないが、
嫌いじゃない、
そう言ってくれている状況を、こちらから悪くするのは避けたいのだ。
わくわくした瞳で私の返事を待っている妹に、とびきりの笑みを向ける。
「勿体無いから見せません」
一蹴して、
その話は終わり。
むぅ、とふくれた妹が、ちっとも終わりにはしていなかったことに気付かず。