アオイトリ
□アオイトリV〜熱量〜
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「茅乃ちゃんに突・撃ーー!! 新しい男が出来たというのは事実ですかっ」
天ぷらうどんをすすっていた私は吹きそうになった。
マイクを差し出し言葉通り突撃してきたのは報道部のリポーターである生徒。
ワイドショー並の学園ゴシップを担当する子達だ。
「…何の話なの」
女教師としての威厳をかろうじて保った私は、そ知らぬふりで聞き返す。
ズズイと近付いた彼は、しらばっくれちゃいけませんゼとばかりに、
「藤岡先生とは別れたんですよね?」
「…まぁね」
生徒が教師の恋愛事情を知っているのはどうなんだろうと今更思いつつ、否定しても無駄だし、うなずく。
「それでは、そちらの薬指にあるモノは一体どなたからいただかれたのでしょう!」
示された指に光る、ピンクダイヤとプラチナゴールドの………、
…り〜じ〜ちょ〜う〜〜(怒)!
そりゃ不審に思われるわよ!
教師の安月給で買える物じゃないもん。
しかも薬指て…!
雇主である古賀暁臣理事長に、どういった訳だか強引に抱かれて一夜を過ごした後、何故だか薬指に噛み痕を付けられ、彼が誤魔化す手段に選んだのがコレ…、
指輪で隠しちゃえ☆(いやこんな口調じゃなかったけど)
…余計に目立つわー!!
しかも私のサイズより僅かに小さく作られているらしく、無理矢理填められた後はどうやっても抜けないし。
行くとこ行けば切って貰えるのは知ってるけど、値段(推測)を考えると恐ろしくて出来ない。
そうこうしてるうちにコレだ…。
「これはですね、預かりモノです。うっかり填めたら抜けなくなったので、外せるまで預かってるの」
無理は承知でそう説明すると、案の定納得してない視線が寄越される。
「…まあソレは置いといて、だって最近茅乃ちゃんキレイになったと評判ですよ? 肌もツヤツヤしてるし、何か女らしくなったし、服の趣味も変わったでしょ?」
キレイ?
ツヤツヤ?
女らしく?
何のことだ。
服の趣味は確かに私ではなく理事長の趣味だが、有無を言わせない状況で着用を強要(あ、韻ふんじゃった)されているので、好きで着ているわけじゃない…と、言い切れないのが悔しい。
どれも素敵で結局気に入って着用してるんだから。
むむ、と悩む私に横合いから女子が会話に混ざってくる。