第一印象は、
“うわ! 王子!!”
………だった。
遅咲きの桜の木の下、ダークブルーの高級車から出てきた彼に、一瞬見とれたのは秘密。
綺麗に整った容姿、均整のとれた躰付き、隙のない動作。
人間味がないというか、受け答えが丁寧なのも作られ過ぎていて違和感があった。
血縁とはいえ、24才の若造を理事長なんかにしていいのか? とも思ってた。
暫く彼と会話をして接してみれば、杞憂だったとわかったけれど。
他人を従える力を生まれつき備えている人だ、彼は。
あたりは穏やかだけと、本心を笑顔に隠して自分を偽っている。
一介の教師である私と、理事長がいる世界は違う。
気にするほど接点があるようには思えない。
だから、理事長がどんな人でも気楽に考えていた。
時折理事として学園の様子を見に来られた時は支障ない程度に親しくして。
こんな関係になるなんて思ってもいなかったから。
初めて出会ったのは、桜舞い散る春のあの日―――ア オ イ ト リX
〜桜、六花〜