アオイトリ

□L'Oiseau bleu. 3〜ザ サン〜
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「……暁臣くん、起きて! 今日は朝から会議でしょ?」

「ん…茅乃さん…」

身体を揺さぶられるのと同時に愛しい女性の声で目が覚める。

至福。

出来ればもう少し、甘く起こして貰いたいものだが。
揺する手を掴んで、ベッドに引き込む。文句を言う唇を塞いで、朝から濃厚なキスをする。

夫の特権を味わって。

「ぅんっ…っぁも、…専務! 仕事行く仕度なさい!」

ペシリと頬を打たれ、しぶしぶ彼女を離すと、私だって仕事あるんだから、遊んでられないのよ、とつれない言葉。

テキパキと今日私が着るスーツを用意し、まだベッドでうだうだしている私を叱ってくる。

茅乃さんが世話を焼いてくれるのが嬉しくて、結婚後、だらしなくなったということは彼女には内緒だ。

そうして朝のひとときを堪能していると、軽い足音がして、扉から顔を覗かせる、幼い少年。

「おかあさま」
「太陽、ごめんねうるさかった?」

いいえ、おきてましたから、という幼い声の主は、その証拠に園の制服をもう身に付けていた。
ベッドから身を起こした私と目が合って、ニコリと笑う。

今年五つになる、茅乃さんと私の息子。

「おはようございます、おとうさま」

「おはよう、太陽」

ほほえましい父子の朝のやりとり…に見えているはずだ。

茅乃さんには。

私達の間に火花が散っていることなど気付かない。

「おかあさま、おリボンむすんでくださいますか。うまくできなくて…」
「はいはい。太陽はひとりで用意して偉いわねえ」

屈んで息子のリボンタイを結んでやっている茅乃さんには見えなかっただろう。
私を見てニヤリと勝ち誇った笑みを浮かべた五歳児に。

………誰に似たんだ。


L'Oiseau bleu.3 
〜ザ・サン〜 



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