アオイトリ
□L'Oiseau bleu. 3〜ザ サン〜
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こども、出来たみたいなんだけど、どうする。
と、ムッツリした顔で茅乃さんが私に告げたのは、うやむやに付き合い出して一年が過ぎた頃。
ピルを飲んで自己防衛していた彼女だったが、私の方は避妊を全くしていなかったため、それは100%ではなく。
彼女にとっては不本意、私にとっては願ったり叶ったり。
当然、一も二もなくプロポーズして、三ヶ月後には式を挙げていた。
しばらくは拗ねていた茅乃さんも、お腹が大きくなるにつれ、態度は軟化し、私がささやく愛の言葉にも素直に微笑んでくれるようになった。
ちゃんと好きだから、と
やっと言ってくれたのは太陽が生まれた日。
愛する人を手に入れて、もう何もこの幸せを邪魔するものは―――…いた。
可愛い子供を装って、茅乃さんの愛情を奪おうとする、敵が。
憎たらしいことにレッキとした自分の息子でもあるため、排除のしようもない。
一応、息子にも愛はあるので。
しかしどうせなら私似でなく茅乃さん似の娘が良かった…と思うのは贅沢だろうか。
「暁兄……自分の息子相手に妬かないでよ…」
「社内では専務と呼びなさい」
呆れたように言う廉を横目に、なかなか茅乃さんと二人きりになれないこの現状を打破すべく、スケジュールを確認する。
無理矢理にでも休みを取って、茅乃さんと旅行にでも行くのだ。
可哀想だが(と、考えて今朝も行ってきますのキスを邪魔されたことを思い出し、いやちっとも可哀想でないと思い直す)、太陽はクソ親父の所にでも預ければいい。
義母と朔耶が喜び勇んで面倒をみてくれるだろうし。
妊娠がわかってから、慌ただしく結婚、太陽が生まれてからも子育てで二人の時間は無いに等しく。
茅乃さんが妊娠中だったため新婚旅行にさえ行ってない。
……結婚する前の方が二人でいたような気がするぞ。
確かに彼女を手に入れて、家族になり、時々だがアイシテイルと言って貰えて。
他に何を望むのだと言われそうだが、茅乃さんの事に関しては、どれだけ与えられれても満たされることはないような気がする。
私の執着などサラリとかわして、いつ逃げられるかわからない。
子供がいてもそう思ってしまう。
鳥籠に入れられたのは私のほう。