アオイトリ
□アオイトリY〜ショコラ・ナイト
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めずらしいものを見ている。
女生徒達に囲まれて、困ってる理事長。回れ右するべきか助けに入るべきか。
女あしらいが上手いと言っても、相手は生徒、しかもミーハー気分で理事長を慕っているのでいつものように行かないらしい。
助けたほうがいいかなー、
でも、
私の推測が正しければ……、
「大変そうだなぁ」
「! 藤岡くん」
こっそり向こうの騒ぎを窺っていた私の後ろに、いつの間にかいた同僚元婚約者に驚いた声をあげる。
「当日来なかったから、今たかられてんだな。イイ男も大変だ」
感心して言う藤岡くんも、女子にたかられていたくせに。
「で、お前はいいの?」
「は?」
「あれ許しといて」
あれ、と指す先は数日遅れのバレンタインチョコを押し付けられている理事長と、女の子達。
「………………、なんで、」
「付き合っているという噂を小耳に」
面白そうに言う元婚約者。
こいつ、そもそも誰のせいで…!まぁ、言い訳にしている今は強いこと言えないけどさ。
いやそれよりも。
「噂ってどの程度の…?」
「ん〜、仲良いじゃんアヤシイんじゃね? とささやかれてるくらいかな。で、マジな訳?」
頭を抱えて叫びたくなった。
あのおバカ理事、ところかまわずひっついてくるから……!
「ま、それだけじゃないけど。理事長、よく俺のこと睨んでるし」
肩をすくめる藤岡くんに怪訝な目を向ける。
「…なに、睨むって?」
「お前とこーゆー風に二人で話してたりすると、冷ややか〜に…考えてみりゃ、以前からか?」
どういう意味か聞こうと思ったのに、目を離した隙にこちらにまでやって来ていた理事長の、にこやかに冷気を発する声で中断してしまう。
「お疲れさまです、藤岡先生、楠木先生」
………。
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