頭が煮えた。一瞬で。どんなに身体を重ねても、心の深いところは許してくれない彼女の、私以外の男に向けられた、その笑顔に。私といるときはいつもどこか気を張って。薄絹一枚隔てたよそよそしさを保っているくせに。何故、今日会ったばかりの、信用はしてもいいが信頼はしてはいけない男に笑いかけている?――俺にも滅多に見せない、無防備な素の笑顔で――L'Oiseau bleu.4 〜桜襲ね・Side暁臣