ゾロ×

□Melty(★)
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奴の汗が一筋、額から眉を抜けて

まつ毛まで伝う…それは瞬きと共に

俺の頬に落ちた。


『ハ、ァ…ぁ…ッ』


ぱた…っと頬に弾けたそれは俺の汗と一つになって


緩まない律動に乗せて首をしならせると、首筋まで流れた。


『、…コック』


奴はその汗を舌で掬いながら、力強く抱き締めてくる。


『あちィだろ、クソ…っ』


俺もその濡れた背中を、強く抱き締め返した。









閉め切った夏の格納庫。


熱が籠り、夜だってここはサウナのようだ。

そんな中、男二人でこんな事をしているんだから殊更に汗をかく。


『…ぁ…ちィ』

『っせェな…我慢しろ』

『ったく…
フライパンに乗っかった、バターの気分だぜ…』



…溶けちまう。


濡れて滑る汗の感触につぶやくと、奴は動きを止めニヤリと笑った。


『何かの話にあったな』

『あ?』


繋がって
走り回るうちに

溶けて

バターになっちまったってェ虎の話。


『あァ…最後はそのバターでパンケーキ焼くって話か』

『くく、バターになんの…付き合ってやろうか』

『…ハ、お断りだね。
てめェとなんか』


わざとバカにしたように口の端を吊り上げると、奴は一瞬口をヘの字に曲げたが、すぐにまた悪い笑みを作った。


『…そうか?一緒に溶けんのも』

『っ…ァ!』

『悪くねェと思うぜ、…、なァ…っ!』

『ぁ、ぁッ、てめ…勝手に…ッあ…!!』


決めんなと言い終わる前に

突然奴の動きが激しさを増し、一層大きく揺さぶられ始めた。

俺の中のイイ所を的確に突かれ、甘く熱い痺れが波のように湧いてきて。



更に汗が流れ出す。



『…ぃ…っあ…!!』

『、どうだ、溶けてきたろ…っ』


『…っめ、…ァ…ッ』


肌を滑るように撫でられ思わずのけ反る。


水でも湯でもない
まるで温い海をまとったようなこの肌の感触が。



『クソ…やべ…ェ…ッ』



気持ち良さに拍車をかける。



この合わさる肌の濡れた感触も


脇腹をツゥと流れ落ちて行く汗の道筋にも。


自分の体にぱた、ぱたっと落ちてくる、奴の汗にすら。




やべェ俺…感じすぎてる。




繋がった所も滴る汗に良く滑り、いやらしい音を大きく立てている。

その音と奴の荒い息遣いが、耳によく絡んで離れない。



この部屋の暑さにか。
または肌の熱さにか。
濡れた感触か。
卑猥な音か。

溶かされるという言葉にか。


もうよく分からないが、とにかく全ての感覚が快楽に煽られた。



『、イイか…ッ』

『あっあ…!
クソ……トけ…る…っ!!』



溶けて溶けて

溶け合うようで。



堪らなくなって、濡れた肌にしがみつく。



肩に額を擦り付けると、俺の汗もまた、奴の胸に滑り溶け落ちた。



『っ…あ、イく…イクっゾロ……ッ!!』

『――…っ!』


溶けきった体から、熱がトロリトロリと溢れて解放されるような、濃い吐精感に浅く息を吐き止める。

同時に俺の腹の中で、ゾロが熱く溶け広がるのを感じた。








…ホントに溶けちまったんじゃねェだろうか。



ゾロの腕の中。

余韻の波間に漂いながら、熱と快感にボヤけた頭でうっすら思う。






最後の瞬間、本当に一つに溶け合った気がした。




奴も感じただろうか。


…そうだと良いのに。




『…クソ…びっしょりじゃねェか…』


我に還り、肩を押し離す。

バカな考えをごまかして毒づいた。


『早く抜け、あちィ』


息は整い始めても、汗はこの熱さに引かず流れ続けていた。




『なァ…あのバターみてェになっただろ?』


俺の文句もお構い無しに不敵に笑ったゾロは、問いを投げて来た。


『コックは感じたか?
…俺は最後、一緒に溶けたと思った』

『っ!』



『お前はどうだった…あのバターみてェに溶けただろ?』


奴がもう一度聞いて来る。


その口調は無遠慮のくせに穏やかで。


揺るぎない目で俺を見る。



あァクソ…

全く、くだらねェ例えはするもんじゃねェ。




奴の待ってる答えしか持ってねェ俺は悔しくて、素直に答えるのを止めた。



『…失格だバカ。

パンケーキ焼くバターはなァ…




…こんなに焦がしちゃならねェんだよ』




end


→おまけ☆
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