ウソップ×
□pride2
1ページ/6ページ
こんな俺でも…男だから
好きな奴は
やっぱりこの手で守りてェと思ってる。
…例え実力不足でも。
【pride2】
ゆったりと海を漂うメリーに、突然見張り台からのゾロの声が響いた。
『前方から、海賊船だ!』
『…あ?!サンジ、敵襲だってよッ!』
『……あァあァ…んだよ……』
キッチンの奥、倉庫。
俺はオロオロと乱れた着衣を整える。
対してサンジははだけたシャツもそのままに、ダルそうに首を振った。
『イイトコだったのに…ついてねェ…。せっかく空いた時間だったってのによ…』
『ッ俺だって…!こうなったら、早いとこ片そうぜ!』
『おっウソップ、言うじゃねェか。よし、クソ野郎共に一発かまそうぜ!』
*…*…*…*…*
俺達が外へ出ると、大型の敵船がもうメリーへ接舷しようとしていた。
『…チッ、ワラワラと大勢で押し掛けやがって…』
久々の大人数の襲撃。
こんな人数、メリーには出来るだけ乗り込まれたくねェ。
『ウソップはここから援護頼む!』
『あァ!』
サンジはヒラリと甲板へ飛び降り、そのまま敵船へ飛んだ。
『コイツの、試し撃ちだ』
俺はミカンの木の前に立ち、出来たばかりの新兵器・カブトを構えて、サンジに近づく野郎共を次々に弾いた。
サンジにはなんて事ねェ雑魚共だろうが、大人数に囲まれちゃ厄介なのに変わりはねェ。
『…サンジは、俺が守る…!』
*…*…*…*…*
『ッ…ムダに多いぜ…!』
サンジが眉をひそめた。
あれから、どの位ェ時間が過ぎたのか。
サンジの息が弾んでんのが、ここからも見て分かる。
『ッハァ…ッウゼェな!蹴っても蹴っても湧いてきやがる!』
…クソッ!
俺の援護も追い付かねェ…!
『ッ!』
サンジが、疲労と船の揺れに一瞬バランスを崩した。
その隙に、敵の一人がサンジの背後に飛び付き、羽交い締めにした。
『ッく!』
サンジ危ねェッ!
咄嗟に構えて、狙ったが。
サンジの後ろの野郎は俺に気付いていて、サンジを盾の様にこちらに向けた。
…サンジに、当たるかもしれねェ……ッ!
一瞬の迷いが、俺の腕を固めた。
羽交い締めにされたサンジに、一斉に野郎共が飛びかかる。
『サンジッ!』
『……鴉魔狩りッ!!』
…その時
サンジを守ったのは……ゾロだった。