エース×
□伝わる想い
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ゾロが好きで
ゾロが欲しくて
ゾロを諦められなくて
俺を好きな
…エースと、ヤッた。
『…最低だ、俺…』
それなのに、今もまた
あの日を思い出す俺がいる。
あの熱く甘い、腕の中を。
【伝わる想い】
あれから、何日経っただろう。
『……ハァ…』
トン、トン、と野菜を切る音が夜のキッチンに響くのを聞きながら、俺はため息をついた。
…頭に蘇るのは、あの日の事ばかりで。
*…*…*…*…*
あの日俺は、ゾロを想いながら、エースに抱かれた。
エースを、ゾロの身代わりにして。
兄貴のように好きだったエースの言葉に甘えて、
…利用した。
それは自分の中にいるゾロをも、汚した気がした。
エース、ゾロ…それぞれに抱いていた、大事にしていた想い…。
…それがあの日、崩れた気がした。
*…*…*…*…*
『……はァ…』
肺の中に溜まっていく重く沈んだ空気を、ため息で押し出す。
俺は明日の仕込みの手を止めた。
あれからエースは姿を見せなくなった。
俺も、合わす顔がねェ…。
あんな、ゾロの代わりに…。
…好きなヤツが自分の腕の中で、他のヤツの名前を呼ぶのを見て、エースはどう思っただろう。
エースはそれでもいいと、俺を抱いた。
体だけでも俺に、必要とされてェと言って。
…エースの気持ちを思うと、泣きたくなった。
…もう、アイツは来ねェかもしれねェ…。
胸が締め付けられて、苦しくなった。
『……はァ…』
クソ…ため息しか、出てこねェ…。
その時、キッチンの扉が開いた。