ゾロ×
□始まり
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『…ちっ反応ねぇとつまんねェ…。』
コックの気配がスッと離れ、コツコツと靴音が船首の方へ消えて行った。
ガバッ!
ハァ、ハァ…。
『ったく何なんだ…。』
ようやく自由になった俺は跳ね起き、手を胸に当て服を握った。
…まだバクバクいってやがる。
それはほんの何秒かだったのかもしれねェ。
だが俺には永遠にも感じるほど長かった。
そして思っちまった。
その髪に触りてェ。
手を伸ばして抱きしめてェと。
ちっアイツがあんなに近づくから!
何なんだアイツ。
…何なんだ、この気持ち。
その答えを出しちゃならねェ気がして、俺は立ち上がり船首へ歩いた。
『おい、巻きマユゲ!人の安眠妨害してんじゃねェぞコラ!』
『おってめェやっぱり狸寝入りだったな!てめェから言い返しにわざわざ来るたァ珍しいな。ヘッそうこなくちゃよ!』
そう言うとコックは、かまってほしい子供みたいにニッと笑った。
やべェ、有り得ねェ…。
俺は、またバクバクいい出した胸を無視した。
end
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