ゾロ×
□夢(★)
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『オラ、クソマリモッ!』
コックの声がした。
どうやら俺がなかなか来ないので、再度呼びに来たらしい。
『てンめえ、いつからそんなにお偉くなったんだ?!あぁ?!呼ばれたらサッサと来やがれ!マリモが!』
本物のコック登場に焦りを隠せない。
さっき見たばかりの乱れた姿が蘇り、小さな罪悪感を感じつつも、少しでも自然に振る舞おうと口を開いた。
『…あぁ?いいだろ、いつ食おうが俺の勝手だ。』
いつものやりとりのつもりだったが、コックは違和感を感じたらしい。
『…?…てめえ、どっか体の調子悪りィのか?』
少し怒りがトーンダウンし、手を俺の額に伸ばそうとした。
『っ!何でもねぇ!触るンじゃねぇ!』
とっさにコックの手を勢い良く払っちまった。
そのあまりの強さに自分でも驚いた。
コックも思いの外強く手を弾かれ、少し驚いた顔をしたが、同時に不条理な仕打ちに怒りが沸いたようだ。
『ッつ〜ッ…てめえ…!!…あぁそうかよ。そんなに俺が気に入らねぇかよ!勝手にしやがれ!!』
コックは怒りの形相でクルリと背を向けると、ガツガツと靴音を響かせてキッチンへ入って行った。
コックを怒らせちまった。
古傷が痛むようにズキンと胸の奥が軋んだ。
……俺は、コックに惚れてるのか…?
混乱する頭をどうする事もできなくて、俺はバタと仰向けに倒れて空を仰いだ。