ゾロ×
□剣豪のお料理教室
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キッチンに入ると、厨房でコックが忙しく野菜を刻んでいた。
『…コック。何すりゃいいんだ?』
『あァ、そこのモヤシのヒゲとって。』
『…ヒゲ?』
『根っこだよ。細い糸みたいなのと、頭の双葉とって。』
コックはテーブルまで来ると、こうな?とお手本を1本して見せた。
モヤシの両端をピッピッと取るだけ。
確かに簡単だ。
『…わかった。』
カゴに山盛りのモヤシ。
簡単だがかなり手がかかりそうだ。
どっかと椅子に腰かけ、1本ずつ作業に入った。
よし、この端を、ピッピッ…
『っだァ!ゾロ、力入れんな!繊維が潰れてるだろ!』
覗いていたコックに怒鳴られた。
『あァ?!ちゃんとピッピッて取ったろうが!』
『あ?なんだ「ピッピッ」て!アホな効果音はいいから、力を入れんなっつってんの!』
『ちからァ?!』
『モヤシの繊維が潰れちゃあ、シャキシャキした感じがなくなるだろ。』
コックの顔は仕事中の真面目な表情で。
『下準備から優しく、愛情持ってやんねェと。
どんな料理もマズくなる。』
『愛情、ねェ…。』