ゾロ×

□心臓はかく語りき
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目を開き、黒い海を眺める。




あれから、3日。




コックはいつもの調子でナミやロビンに甘い言葉を掛け、ルフィと食物の取り合いで怒鳴り。



いつものコックそのものだ。



ただ、俺には近寄らねェ。



それだけが、あの日の出来事が夢ではねェ事を教えてくれた。



俺はどうしたら、いいんだ。



コックは受け流してくれって言ったが。




…どうしてだろう。




あの日から、心臓がおかしい。




バクバクして、苦しい。




コックの言った通り、アイツの事は、何とも思ってねェはずなのに…。




受け流す…そうするしかねェのに。




モヤモヤとした焦りのような、分からない感情が、胸奥から込み上げる。




一体こりゃ…
何なんだよ…!




わかんねェよ……!




胸を締め付ける、焦り




静かにならない、心臓




この気持ちは
何なんだよ…。




クソ…

コック…なんであんな告白なんか…。




見返りが欲しい訳じゃねェのなら、何で言ったんだ…。




おかげで苦しいじゃねェかよ…クソコック…!



 
『クソ…』




静かな海を眺めて気を落ち着けようと、出てきたのに。




ますます、眠れねェ…。




空には雲の切れ間から月が見え始めた。




今夜は満月か…。




青白い月明かりがほのかに降り注ぎ、船を照らす。




黒い海にキラキラと光が跳ね返り、空との境を作った。




ふいに

コツ、コツと足音が近づく。





ド…クッ…!

心臓が一層騒いだ。





この音は…





『眠れねェのか…?』





……コック…。




 
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