新世紀超怪獣大戦 〜the next 「G」〜

□Z -「G」own path-
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 朝日が差し込んだ。その眩しさに瞼が震え、目をうっすらと開く。寝汗をかいていたらしく、髪の毛が額に貼り付いており、背中も湿っている。

「……またあの夢」

 悪夢の残り香を排出するように大きく嘆息する。眼下で揺れる目標値手前で成長の止まったバストが目に入ると悪夢と相まって目覚めの悪い朝となった。
 両手で腰まである髪をかきあげながら、汗で貼り付いたそれを払い、体を伸ばすとベッドから彼女は起き上がった。
 手早く制服のブレザーに着替え、鏡の前で髪と朱色の指定リボンの状態を確認する。
 今日は第3週。今月に入ってからだと2人他校の男子から声をかけられた。芸能スカウトはこれまでの人生で3回。しかし、まだ公式記録を出せていない以上、本命のスカウトからの声はなし。

「新進気鋭の超絶美少女ランナーって謳えば志願者も増えそうなんだけどなぁ」

 鏡の前で上腕筋のストレッチをしながら彼女は一人呟く。自身の容姿が並みのアイドル以上であり、客観的に他者からどう見られ、またどう見せるかを既に彼女は心得ていた。
 否、今尚自身の容姿の認識は主観でなく、客観が優位にある。彼女のアイデンティティはその美しい外見に対して薄く、内面に対して強く形成されている。彼女にとって外見は制服と同じ、道具や記号にしか過ぎない。
 彼女の名は桐城睦海。地獄と平和。過去と今。二つの歴史の記憶を持つ唯一の少女だ。

「よし!」

 睦海は身支度を整えると部屋を出た。
 リビングでは義母と祖母が朝食を取っていた。時刻はまだ6時前。季節が違えばまだ外の暗い時間帯だ。

「おはよう。お母さん、おばあちゃん」
「おはよう」
「おはよう。パン先食べちゃってるわよ」

 半年前から一緒に暮らし始めた祖母が美味しそうにハムエッグトーストを食みながら言った。彼女の食パンを食べる姿はいつ見ても実に美味しそうに見える。

「うん。ちょっと支度に時間かかっちゃった」
「睦海もまだまだね。慣れれば5秒よ」

 祖母は歳を感じさせないハリのある頬を指でさして微笑む。義母も年齢を偽っているのではと時折思うような若い外見だが、今年66歳となる祖母の肌はそれ以上だ。

「おばあちゃんには敵わないよ」

 睦海は苦笑して朝食の席に着いた。

「いただきます」
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