新世紀超怪獣大戦 〜the next 「G」〜

□「Grow」on 〜シエルと睦海〜
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「睦海ちゃん、今日も遊びにきたの? 院の人に怒られちゃうわよ。」

 曇天の下、高層建築物のほとんどが瓦礫と化したかつての大都会。その一角の空き地で一人、土を採集している女性に"私"がいつもの様に近付くと、彼女は優しく言った。
 孤児院の中でも"私"はあまり人に心を開く子ではなかったが、何故かその彼女には打ち解ける事が出来た。この場所で初めて会ったはずなのに、不思議な懐かしさを"私"は彼女に感じていた。

「おば……じゃなくて、お姉さんは何をしているの?」

 おばさんと呼ぶと彼女は怒る。だから、"私"はいつもお姉さんと彼女を呼んでいた。
 まだ幼い子どもの"私"が、しゃがみこんで円筒の容器にスコップで土を入れる彼女の横に同じようにしゃがみこんで問いかけると、彼女は笑顔を向けて答えた。

「私はこの街がまだ睦海ちゃんが暮らせる街なのかを調べているのよ」
「街が"ゴジラ"に壊されたから?」
「………そうね」

 当時、彼女はまだはっきりと"私"に言う事ができなかった。街を破壊したのが、ゴジラではない事を。

「さ、そろそろ戻りましょう」

 採集を一通り終え、立ち上がった彼女がそう促した時、突如地響きが起こった。

「まさか……!」

ゴガァァァァァァオン…!

 姿は見えないが、咆哮は"私"達の耳に届いた。かなり近くにいるとその音の感じから、"私"達は長年の経験から気がついた。

「……偽者、あの人の信じたのはあんたじゃない。」

 女性は恐怖に駆られる"私"を抱き寄せる。彼女は"私"を抱きながら、呟いた。
 刹那、巨大な触手が"私"達の目の前の建物を貫く。
 瓦礫が雪崩の様に、空き地にいる"私"達を襲った。

「危ない!」
「キャァアァアアアア!」

 彼女はとっさに"私"に覆い被さった。
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