新世紀超怪獣大戦 〜the next 「G」〜

□「G」が導く未来 〜「GODZILLA」VS of FINAL〜
2ページ/14ページ







2009年、歴史改変を企てた人口知能「I‐E」によって復活した絶対悪魔・ガダンゾーアはゴジラ・モスラと人類、そして1人の少年の活躍によって倒された。
これによって歴史は破滅の未来から逸れ、世界は平和な未来へと向かって行った。






それから5年の月日が流れた、2014年。
新エネルギー「クリーンエネルギー」の発見によって日本は長年のエネルギー不足から解放され、驚異的な復興と発展を見せていた。
無論、人々はこの繁栄に溺れ、絶望の未来が再び訪れるのを防ぐ為、共に手を取り合い進んで行く希望の社会を保っていた。







この物語は、そんな世界にあっても昔ながらの面影を残し続ける地、新潟県・弥彦村から始まる・・・










「さて、と。今日も早く家に帰らないと・・・」



弥彦駅ホーム前、黒い制服を来た高校生は携帯画面で時間を確認するとそう呟き、目の前の道路に向かって歩き始めた。
やや旋毛寄りに束ねた、滑らかに流れる長い黒髪を揺らす、穏やかな雰囲気と大きめの目を持った、細身な青年。
彼の名は青木翼。18歳になった彼は今も弥彦村の青木家に暮らしながら、隣の町である燕市の高校に電車通勤で通っている。



「なんせ、フォレストファンタジーがもうすぐ終わりそうだし!早くレベル上げて、あそこのボスを倒さないと・・・」
「あっ、つばさーん!」



歩きながら大好きなゲームの考え事に耽る翼を呼ぶ、薄茶色のツーサイドテールの少女。
彼女は15歳になった桐城美歌であり、現在弥彦中学校に通っている。



「美歌ちゃん!こんちはっす!」
「つばさんと一緒に帰れるなんて珍しいから、声掛けちゃった。ごめんね。」
「別に良いっすよ。今日は部活も課題も無いから早く帰ろうと思ってたし、おれもこんな所で美歌ちゃんと会えて嬉しいっすから。じゃあ、行こっか。」
「うん!」



翼の隣に駆け寄り、彼と一緒に歩く美歌。
その様子からは、翼と共に帰れる事に本当に喜びを感じているのが伺えた。



「ねぇねぇ、つばさんってほんとにその髪型をずっと続ける気なんだね。プテラノドンヘアー。」
「当然!この髪型は兄貴が考えて親父が認めた、おれの魂の髪型なんっすから。」
「もぅ、たけにぃが余計な事言うから・・・つばさんまで変になっちゃった。」
「そう言わないで。でも美歌ちゃんも髪長くしたり、ちょっと化粧したりしてるし。印象が変わったのは、美歌ちゃんも同じじゃないっすか?」
「私はいいの!私の目標はみどねぇみたいな『オトナのお姉さん』になる事なんだから。別に今から練習したっていいでしょ?」
「ま、まぁ、そうっすね。頑張って。頑張るって言えば、親父の研究がいよいよ形になりそうなんっす!」
「えっ!本当に!?流石はロボット工学センターの所長も間近って言われてる事あるね!」
「もう試作品も出来て、近々セバスチャン博士と一緒にそれを最近出来たCIEL社って所に見せに行くらしいっすよ。」
「すごーい!ねぇ、それってどんな物なの?」
「なんと言うか、親父が言うには・・・」






『ロボット工学技師のはしくれとして、誰かの助けになる物が作りたくて、その研究の為にこの村に来たけど、遂にそれが実現しそうなんだ。これを背負うだけで、誰でも自在に空中に浮ける機械!みんなが、翼竜の気持ちを味わえるんだ!
その名も、「BABY」!』






「・・・BABY(ベビー)?」
「親父は背中に背負って使うから、自分の赤ん坊みたいに思って欲しいって言ってるけど、おれは多分、お袋と一緒に育てた『ベビー』ゴジラから採ったんだと思うっすね。」
「私もそう思うな。商品化、実現したらいいね!そうそう、つばさんのお母さんって最近帰って来てる?」
「お袋はG対策センターでアドノア島の観察員と、ゴジラに食べさせる食品の研究の二足わらじで忙しくて、帰って来ない事の方が多いっすね・・・アドノア島近海の使用済核燃料は殆どゴジラが始末したらしいけど、それが無くなったらエネルギー源が無くなっちゃうっすから。」
「そうなんだ・・・ゴジラのご飯なんて、考えた事も無かったなぁ。でもゴジラも生き物なんだから、ご飯は欲しいよね。」
「まぁ、ベビーの頃から携わってたお袋だからこその発想っすよね。三枝さんも中々自分の番が回って来ないって言ってるみたいだけど、お陰で新城司令官と婚約まで行けそうだって佐藤補佐官が・・・」
「み、みきてぃさんが、新城司令官さんと婚約してたのっ!?つばさん、つばさん!そこ、詳しく聞かせて〜!」


――あ、あちゃ〜。口を滑らせ過ぎたか・・・
最近の美歌ちゃんって、恋愛事には目が無いのに・・・まっ、これはもう仕方ないか・・・



本人の言う「オトナの女性」には遠い、体を小刻みに揺らしながら純真な眼差しを自分に向ける美歌を見ながら、翼は渋々美歌に間近に迫った新城功二と三枝未希の婚約までの道のりを、佐藤清志から聞いた限りの情報を頼りに話し始めた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ