新世紀超怪獣大戦 〜the next 「G」〜

□「G」の軌跡
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新城はGフォースの小会議室の扉を開いた。

「功二、遅いぞ。」
「すまん。ちょっと報告をきいていた。」
「わざわざ隠居の戯言に付き合わせてしまって、すまないな。」
「いえ。それで、どのような内容ですか?」

小会議室にいるのは見慣れた顔が極少数のみだ。中心に佐藤、そしてこの席を設けた麻生教官がいる。

「まずは、既に報告がまわってる筈だけど、相次いだ怪獣出現で当初考えられていた放射能によるものという可能性。調べた結果、残留していた放射能はどれも微量、しかも統一性なしだ。それがどういう意味だかわかるよな?」
「あぁ。」
「つまり、あの怪獣達は我々が考えていたものとは全く別の理由で現れたという事だ。」

「理由は必ずあるはずです。恐らく自分達が把握もしていないような…。」
「だな。んで、功二。エマーソン博士って知ってるか?」
「………誰だ?」

その名前に全く新城は心当たりがない。

「Gフォース開設当初の研究者らしいんだけどな、メカゴジラの前、ガルーラ開発の途中で、何か考える事があるとかで抜けたらしいんだ。まぁその後、技師の青木さん達がガルーラを開発して、メカキングギドラからメカゴジラを開発したって流れは今更言う事もないよな?」
「あぁ、つまりGフォースが日の目を見る前に脱退した博士という事か?」
「そう。んで、その老博士が変な物を麻生さんに送りつけてね。」
「変な物?」

麻生は資料を机に投げると新城に言った。見ると、小さな金属らしきものの写真が写っている。

「怪獣を生み出した金属らしい。エマーソン氏はオリハルコンと呼称しているのだが、どうも国際捜査官に依頼して入手した品らしいが、そのオリハルコンとやらがマジロスの現れた弥彦村中心地から発見されたものらしい。」
「……でも、それは、怪しくはないですか?」
「ぶっちゃけ、怪しい。信用できない。だけどさ、可能性がある以上、調べる価値はあるだろ?それで、多忙なる司令官殿の代わりに、優秀なる補佐である俺に麻生さんから分析を依頼されたんだ!」

佐藤がなぜか胸を張って言う。隣で麻生が、一番暇そうな奴に頼んだんだという顔で佐藤を眺めている。

「……まぁな。それで、その金属は?」

オリハルコンなどと映画や小説でしか聞いた事のない物の調査をして果して意味があるのか疑いつつも、新城は頷いた。

「そろそろ最終分析が終わって、そこからここへ届けてくれるとはず。物が物だけに科学分析だけじゃわからない事が多すぎて、科学以外でも分析してもらってるんだ。」
「科学以外?………おい、まさか。」

新城が佐藤に言うと同時に扉がノックされた。新城が扉の方を見ると、扉を開き、見慣れた女性が入室する。

「G対策センター・サイキックセンター主任、三枝未希です。Gフォースより分析の依頼が来ていました金属、オリハルコンの調査結果とサンプルを持ってきました。」

実年齢30代後半とは思えない若い女性がケースと資料を持って会議室へ入ってきた。
すぐさま新城は佐藤を睨む。佐藤はその視線から逸す。

「そ、それで、三枝さん。そのオリハルコンの分析結果は?」

「特殊な音が聞こえました。」
「音?」
「麻生さんならば、ご存じかと思いますが、ベビーの卵に付着していた苔が発していた音に酷似していました。」

そう言うと、未希はカセットを再生した。ソプラノを利かせた合唱が流れる。

「これが?」
「その苔の発したベビーを卵の長い歳月語り書け続けた音です。」
「じゃあ、これはゴジラの卵が産まれた太古の物?」

新城が聞くと、未希は曖昧な表情になる。

「わかりません。実は音とは別に、この金属のもつ感じに似た物をまた別の時に感じた事があるんです。」
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