小説 K

□番外編 ひとりごと
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◆元就かんがえる



我は毛利元就。
私立関ヶ原学園高等部2年で学級委員をしている。
父と母は毛利グループの会長で世界を飛び回っている。
最後に会ったのは…高校進学の時であったはずだ。


最近、我のクラスに転校生が来た。


奴の名は片倉小十郎。


我は、奴に瓜二つの奴を知っている。


伊達グループ会長、伊達輝宗が秘書・片倉影綱。
伊達グループは取引先でな、我も何度か目にした事がある。
1年ほど前から、見掛けなくなったが。



それにしても。



顔の傷といい、背格好といい…全く同じ。
だがいくら奴が老け顔とはいえ、子供が付き人は無理だ。
我が見掛けたのも4年は前の事であるし。



「元就?何ぼーっとしてんだよ、行くぜ!」


ああ。
今日は長曽我部と出掛けているんだ。
忘れていた。



「あ、あれ!伊達と片倉じゃね?」



確かに。
ふむ、片倉もクラスに馴染んでいるようだな。
しかし伊達があんなに他人を受け入れるとはな…。
他人に個人的な部分に踏み込まれるのが嫌いなはずだ。



もし。
もし伊達が伊達グループの御曹司であったら?



片倉影綱が御曹司の世話役に。
会長からあれほど信頼されていたのならば…ありうる。
付き人が変わったのも、伊達が高校に入学したのと時期的に同じ。



まさか、な………。



「アイツら本当仲良いよな〜。って元就?」



また長曽我部を忘れてしまった。
…まあ、こんな奴忘れていても良いか。


「片倉もさ、こう見るとちゃんと高校生くらいに見えるのな。」


片倉の顔は凄く穏やかで。
確かに。



「主人に向ける笑顔ではないな」
「は?」



片倉は間違いなく高校生だ。
伊達との関係は…解らないがな。



「今なんつったんだよ?…いてっ。」



伊達と片倉が、余りに幸せそうだから。
隣にいる馬鹿を叩いてやった。
ふん、良い気味だ。









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