小説 K

□「おいでよ転校生」
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―奥州組若頭、伊達政宗。

彼の1日は、平穏である。
6時30分に起床、洗顔等の軽い身嗜みを整えると朝御飯とお弁当を作る。
朝は、いつもの和食。魚を捌き、味噌汁の出汁を取りながらお弁当の献立を考える。

ウィンナーの賞味期限がそろそろだったな…あ、卵もやべぇな。
よし、ウィンナー入りケチャップご飯のオムライスにするか。

朝御飯を火にかけ、お弁当づくりに取り掛かる頃、世話役の小十郎が身嗜みを整え、ダイニングにやってくる

「おはようございます、政宗様」
「Good morning,小十郎」
「今日はオムライスですか、お昼が楽しみですな」
「おう!今日はSpecialに具がたっぷりだぜ」

何気無く軽口を叩きながら、小十郎が机を吹き箸を並べ、器によそっていく。

政宗が作り、小十郎が手伝う。

それが朝の約束だった。
本来、世話役の小十郎が身の回りの事をするべきだが、料理好きの政宗たっての希望で今の形に落ち着いている。

小十郎には世話になりっぱなしだからな、せめてものthankだ。

が本音。
でも内緒。

葵と黒のお弁当箱にオムライスを詰めると、丁度朝御飯の支度も終わり、二人でご飯を食べる。

「今日もおいしゅうございます」
「だろ?にしても小十郎、良い魚買ってくるな。いつもの鮭よりgoodだぜ」
「はい。昨日はスーパーのではなく商店街の魚屋を訪れました。今度からこちらで買いましょう。」
「ああ。頼むぜ」

朝御飯もそこそこに、食べ終えると政宗は食器を流しに運び、お弁当を鞄に詰めて学校へ行く。

「いってらっしゃいませ」

小十郎に見送られマンションを出ると、朝日はきらきらと輝き、空がどこまでも続いている。

「Nnn〜……」

朝の、外に出た瞬間が好きだ。
政宗はそう思う。

すっげーfreedomな気分で、1日何があるかワクワクしちまう。

やっと掴んだ自由なんだ。
自由になって2年目に突入する今も、その気持ちは変わらない。

目に写る景色全てを慈しむように、ゆっくりと歩き出す。
政宗少年の目は、黒曜石の様にきらきらと耀いていた。






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