短編五

□「紅蓮の劫火」
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【ジャンル】戦国パロ シリアス
【傾向】無理矢理 
【R度】15




・頼れるのは自分だけだと洗脳するエースの話を。
・時代パロ見たいです!
・戦国時代設定の滅んだ家の姫ルフィを無理やり正室にする君主エース

以上のコメントによって制作しました。



焔が、城を燃やす。
この国の姫、ルフィは今年十六になる一国の唯一の姫君。
彼女は鋭利な小太刀を持ち、ただ一人いる。いや、一人ではなかった。五人の侍女達の、首筋を斬り自害した死体が己を囲んでいる。
ここは城の最上階。国主は先ほど戦死し、連絡を受けた嘆いた侍女達は自害した。もう、この部屋にはルフィしかない。
窓を見れば、暗闇に灰色の煙があがり、城を燃やす火が視界に映る。そして、耳には兵士達が闘う怒濤の叫び、悲鳴・・。
これで、終わりか。ルフィは小太刀を握る。もう肉親はいない。仲の良かった侍女も、兵士達もいない。

そのときだ。うげっとうめき声が響き、この部屋に入る為の障子が破れた。この部屋を護っていた兵士が、斬られたのだ。ルフィははっとした。

「ルフィ姫か・・?」

朱色と漆黒の鎧をまとう、男。返り血が大量に染み付き、髪やマントも汚れ、持つ刀には倒れた兵士を斬った血が滴っている。

「お前は・・」

「南国の主、エースだ」

「っお前が!?」

この城を、国を、攻めた。
肉親や皆を殺した原因を作った張本人。全身に憎しみと怒りが沸き上がり、ルフィは小太刀を構えてエースに突っ込む。彼はいとも簡単に小太刀を刀で払い、
赤き衣に身を包む女を、ルフィを胸に抱く。

「は、離せっ!!」

「・・・昔と変わらないな。お前」

「え・・」

エースはにやっと笑う。彼の頬には血がついていて、ルフィはぞくっとした。
何て恐ろしい男だろう。殺してやりたい。憎らしい。しかし、もう武器はない。
いっそ、このまま。殺された方がいい、皆の元へ。ルフィは大人しく、力を抜いて目をとじ、彼に身を預ける。

「首、取れよ。俺が最後の一人だ・・この家の」

「・・・」

しかし、彼は動かない。それどころか姫を強く抱きしめる。
くくくくと妖しげに笑い、姫に呟いた。

「誰が殺すかよ。お前は・・俺のものだ」

エースはルフィの懐に拳を振るう。ぐふっと彼女は痛みに倒れ、彼は優しく抱き上げる。そして、部屋を出て行った。



【紅蓮の劫火】



南国。ゴール城。奥の院。
ルフィは、白い夜着の姿で呆然としていた。

何故、自分はここにいるのだ。一体、どうして。死ぬはずだったのに。もう、この世にいないはずで、死んでしまった皆と同じ天国に召されるはず。

ルフィの体は動かなかった。
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